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グランドフィナーレ! 最後??(笑)

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『勇者に与えたつもりでいた30万ゴールド』を彼が置いていったからといって『タラ川以南の地の復興基金』に充て、それを以って『中々な名君』と評されてニヤニヤしているサヤマ4世に俺は呆れた…まあ『ネコババしなかったのはマシ』ではあるが…。

それにしても…『イイクニ公に比較される』とは何だ…『中原きっての名君の誉れも高きイイクニ公』と『遥かに格が落ちるサヤマ氏族国の首領サヤマ4世』が同列に扱われるなどおかしな話…。

だから俺はサヤマ4世に語りかけた…。

「首領…貴方の評価がうなぎのぼりなのはサヤマ氏族国の民として嬉しい限りではありますが『イイクニ公と並び称される』とは…さすがに無理があるのではありますまいか…」

と…。

イイクニ公が『中原きっての名君』と称されるのは噂だけではなかった…彼はその態度と覚悟でその事を俺に知らしめた…。

「そう…例えばあの時…」

と言いかけて俺は口を噤む…。

『あの時』とは一体いつの事なのだ…噂には聞いていても会った事もないイイクニ公について『しがない旅の傭兵の俺』が何を知るというのか…。

どうも『この旅』はおかしい…ピノ橋から『暗黒地帯』を分け入って『クラーケン麾下の強い魔物達』に半死半生の目に遭わされてからというものの『俺の記憶』が何かおかしい…訳の分からないところで『懐かしみ』を感じたり『共感』を覚えたりする…何故だ…。

「それは…『頭を強く打ったから』ではあるまいか?」

とサヤマ4世が言う…この首領はとんた俗物だが『人の心への想い』については結構良い気付きをする…。

「『暗黒地帯』を深く分け入る中でそなたは魔物に痛撃を受けたと聞く…『兜が割られる位の衝撃』であったのだから当然『脳の髄』に支障をきたしているのだろう…」

「知らぬ筈のものを『知っている』と思う事…会った事がない存在に『懐かしみ』を感じる事…そのいずれも『頭を打った事による一時的な記憶の混同』に過ぎぬのだろう…」

「だから焦る事はないぞマヂス…まずはゆるりとこの城で休んでその後に『次の身の振り方』を共に考えようぞ…」

サヤマ4世の言葉には心情が篭っていた…。

だから好きなのだこの首領…いい加減なところやちゃらんぽらんなところも数多あるが『人としての気持ち』については至極ちゃんとしている…だから我等サヤマ氏族国の民の気持ちを掴んで離さぬ…。

「イイクニ公…かあ…」

「かの『中原きっての名君』とワシを同列に論じるなど『とんだ茶番』に過ぎぬが…30万ゴールドを復興基金に充てる中『イイクニ公との縁』ができてな…書簡のやり取りなぞ何度かしているのだよ…」

意外な話をサヤマ4世がする…。

「彼はワシのような小者にも丁重な謝意を示してくれてな…『復興成った暁には是非イイクニをお訪ね頂きたい』と言って下さっている…」

「その折にはどうだ…ワシと共にイイクニに旅せぬかマヂス…」

とサヤマ4世に言われて俺はグッとくる…。

「あの御方に…あの御方にまた会えるのか…」

と…。

その返す刀でこうも思う…。

「『また』とは…」

「一度も会った事がないのに『また会えるのか』と何故思うのか…」

と…。

「『頭を強く打ったから』だろうなぁマヂス…」

「まずはゆっくりと静養する事じゃ…」

サヤマ4世は静かにそう言い俺の肩にそっと手を掛けるのだった…。














続く…。
(明日で終わらせます!多分…)

by shousei0000 | 2017-12-27 19:52 | ロードバイクあれこれ


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