
<ナレーション>
75度線を突破した小生支隊は進路を変えて西に向かう…。
小生支隊が75度線を越えた場所は峨々たる山脈地域であり、『この地域を銀輪機で越えるのは不可能である』と踏んだ敵軍はそこに警備部隊を置いてなく、その突破は隠密裏に進んだ…。
これあるを期して小生支隊の各銀輪機は『出力3割増しのボアアップ』を行なっていた…装備面でもよく練られた作戦だったのである…。
敵本体側面奇襲を目指して西進する銀輪機達…その機内で『独り物思いに耽る搭乗員』がいた…。
(昨日に引き続き野暮を承知で注釈する…またまた上に挙げたツールドフランスの画像を『単座ホバー戦車の山越えのシーン』として見て下さい…ひとつ宜しく…←含羞)

<『プラチナ・スリーデイズ』で戦死した小生伍長の分隊士である小生曹長>
ふう…75度線を越えたな。
この方面から我が軍が侵攻すると敵は思っていないだろうから、この時点で本作戦はほぼ成功したと言っていい…あとは敵に発見される事なく側面攻撃ができさえすれば…。
小生伍長…見ているか?俺達は遂にここまできたぞ…。
戦死した貴様は二階級特進して曹長になったが、俺の列機としての貴様は伍長だったから、これからも俺は貴様を『伍長』と呼ぶぜ…。

今日は貴様がいつも額に巻いていたハチマキをスカーフ代わりに付けてきた…貴様も一緒に連れて来てやりたいと思ってな…。
貴様が生きていれば『分隊士!気持ち悪い事しないで下さい!』なんて言うんだろうが、貴様はもう死んじまったからそういう文句を言う事もできない…しょうがない奴だよ貴様は全く…。

伍長…貴様も知っての通り、俺は今まで列機を一度も失った事がない…それが俺の誇りだったし、我が軍の搭乗員達も撃破数以上にそれを讃えてくれていた…『決して列機を失わない男』として…。
なのに…その神話も崩れてしまった…貴様のせいだぞ伍長…一体どう責任を取ってくれる…。
今すぐここに出て来て『ご迷惑かけて申し訳ありません分隊士!』とでも言ったらどうだ…まあ今の貴様にはそれはできない訳だが…。

伍長…貴様は今でも俺の三番機…。
『俺の心の三番機』はこれからもずっと貴様のまま…忘れるんじゃねえぞ伍長…。
さぁて…そろそろ敵陣に到達する…うまく奇襲できるかな…。

一緒に行こうぜ伍長!
俺達の戦い振りを見ていてくれ!!
<ナレーション>
搭乗員達の様々な想いと共に小生支隊の先鋒は敵本体側面に迫っていた…。

<支隊司令部移動車両内にて小生将軍>
そろそろ先鋒が敵と摂取する頃合いだな…。
奇襲に成功すれば『トラ連送』がくる訳だが…果たしてどうか…。

<通信兵>
先鋒部隊より入電!
スピーカーに繋ぎます!

<先鋒部隊よりの信号音>
トトートト・トトト・トトートト・トトト・トトートト・トトト…
<通信兵>
これは…『トラ連送』!
『我レハ奇襲ニ成功セリ』です!将軍!!

<小生将軍>
「よーし!よくやったぞ先鋒!!」
「通信兵!支隊隷下全部隊に通信!」
「『先鋒ハ奇襲ニ成功セリ』『天祐ヲ確信シ全軍突撃セヨ』だ!」
<通信兵>
「はーッ!!!」

<臨時参謀長となった小生少佐>
「全軍突入します!」
<小生将軍>
「うむ!」
(またまた野暮を承知で注釈…上の下手くそな絵は『アニメ銀英伝』なんかでお馴染みの『戦況をグラフィック化したもの』…下の斜め線入っている三角が『小生軍本体』…上の白三角が『敵本体』…その右手の塗り潰した小さな三角が『小生支隊』…パソコンでこういうの作れたらよかったんだけど、俺はそういうのできないので、一昨日の夜『職場駅そばのファミレス』で紙ナプキンに全力で手書き致しました←笑)

<小生少佐>
「敵側面、崩れました!」
<小生将軍>
「やったか!」
「通信兵!本隊に通信!『我レ奇襲ニ成功セリ』『総攻撃ヲ要請ス』と!急げ!!」
<通信兵>
「はーッ!!!」

<小生少佐>
「本隊、動きました!」
「本隊の圧力で敵前衛が崩れています!」
「我が支隊は敵陣に深く食い込んで目下戦果を拡大中!」
<小生将軍>
「食い破れッ!!!」

<小生少佐>
「突破!突破です!!」
「我が支隊は完全に突破を果たし、敵陣の後方に出ました!」
「本隊の総攻撃で敵前衛も崩壊の模様!!!」
<小生将軍>
「支隊!背面展開!」
「後方から敵を押して押して押しまくれェー!!!」

<ナレーション>
かくして戦局は決した…。
小生支隊による思わぬ奇襲と本隊からの総攻撃を同時に受けた敵本隊は為す術がなく、最終的には前後からの挟撃を受け崩壊したのである…。
この戦いは『一方的な完勝』(パーフェクトゲーム)として列国の注目を集め、小生支隊の作戦名である『栄光の五日間』をタイトルとした様々な著書を生む事になる…。
かくして小生支隊の『栄光の五日間』は終わった…。

<戦さ果てた後の戦場にて小生将軍>
終わったな…少佐…。

<小生少佐>
ええ…終わりましたね将軍…ひとつの戦いが…。
我が軍の完勝です…このような見事な戦いに臨時とはいえ参謀長として参加できた事を小官は誇りに思います…。

<小生少佐の独語>
そりゃ誇りにも思うさ…『名が売れた』からな!
こんなパーフェクトゲームの参謀長ともなればこれからは引く手数多!俺の栄達は決まったも同然!!
あんがとよ将軍!俺はこの戦いを踏み台にしてますます出世するゼ♪

<小生将軍>
ところで少佐…君に紹介したい男がいるのだが…。
(傍らにいる従卒に向かい)おい、彼をここへ。

<謎の男>
「お初にお目にかかります少佐」
「私は小生大尉と申します。以後お見知り置きを…」
<小生少佐>
「モスグリーンのタートルネックシャツ…貴官は憲兵か?」
「憲兵が小官に何用か?」
<謎の男改め小生憲兵大尉>
「実は少佐…少佐にはある重大な嫌疑が掛けられています…『背任横領』です…お心当たりは?」
<小生少佐>
「背任横領?冗談ではない!」
「小官はご覧の通り長く前線にいた!背任横領なぞしている暇はないわ!証拠はあるのかね!証拠は!!」
<小生憲兵大尉>
「証拠は…あります…」
「実は少佐、我が憲兵隊は暫く前に『裏社会のフィクサー』と呼ばれるある人物の検挙に成功しましてね…その人物を取り調べる中で貴官の名が挙がりまして…何でも相当多くの軍事物資を裏社会に横流ししていたとか…軍人にあるまじき行為ですな…」
<小生将軍>
「小生憲兵大尉はな…その件で貴官の上官である私の元に相談に来たのだ…そこで私は小生憲兵大尉と共に案を練り、貴官を臨時参謀長とした…」
「『裏社会のフィクサー逮捕』の報を貴官が知れば何らかの証拠隠滅工作をするであろうから、その暇(いとま)を与えぬ為に貴官に激務を与えたと…まあそういう訳だ…」
<小生少佐>
「えっ?それでは『参謀長戦死』『第一副官急病で後送』というのは…まさか!?」
<小生将軍>
「当然『嘘』だよ…2人共健在だ…」
「作戦に精通していたとはいえ『一尉官が急に参謀長』とか少しは不審に思わなかったのか?」
「思わなかったんだろうなぁ貴官は…栄達に目が眩んで判断力が鈍っていたのだろう…些か詰めが甘かったようだな少佐…」
<小生少佐>
「……………」

<小生少佐>
「…金が必要だったんだ金が…この世の中何をするにも金がいる…」
「軍人としての栄達を望んだ俺がその足掛かりを掴もうとしても、平民出身の身ではその為に必要な金がなかった…コネも人脈もねえ…だから…」
<小生将軍>
「『だから裏社会と繋がり軍事物資を横流しして金を作ると共にコネや人脈も広げた』という訳か…間違ったやり方だな…」
「平民出身とはいえ士官学校を出たのだから、地道に実績を積み軍務に励めばいずれは貴官が望む栄達だってできただろうに…何故そうも焦った…」
<小生少佐>
「俺は『将軍』になりたかった…『平民出の将軍』は前例がないから尋常な方法ではその夢は果たせない…貴方が言うような方法では俺の夢は果たせないんだ…」
「社会が悪いと思いませんか将軍!?いかに能力があって努力しても『平民出身者はここまで』みたいな慣例があるのをおかしいとは思いませんか将軍!?」
「命のやり取りをする軍隊なんだからもっと実力本位で…」
<小生憲兵大尉>
「少佐がおっしゃる事は分からぬでもないですが…ここはそれを語る場所ではないように思います…」
「ゆっくりお話しを伺いましょう…憲兵分隊でね…ご同行願いますよ小生…」
<小生少佐>
「くっ…」

<連行される小生少佐を見やりながら小生将軍>
少佐…貴官は確かに軍人としては有能だった…もっと早くに出会えていたら私がその誤りを正してやる事もできたかもしれぬが…今となっては『あとの祭り』だな…
平民出身の身で士官学校に入り卒業できた時点で貴官は十分に『異例の出世』だったのだが…『夢が大きすぎた』のか…或いは貴官が言う通り『社会が悪い』のか…
『誰がために鐘が鳴る』という言葉があるが…残念ながら『貴官の為に鳴る鐘』はなかったようだな…。
「いや…或いはあるのか…『軍人としての出世も人生そのものも失った野心家を悼む葬いの鐘』が今貴官の頭の中で鳴っているのか…虚しい事だ…」

…てな訳で…今いつもの星乃珈琲西川越店にいてこんなに灰皿山盛りになる位タバコ吸いながらここまで必死に書いたんだけど…思っていたストーリーとはちょっと違う形になっちゃったんだけど…(時間が足りなくて…)『俺の為に鳴る鐘』はあるんだろうな?
今日は訳あって太郎右衛門橋までしか走れなかったんだけど…俺『体重75kgのライン』無事下回れるよな?『鐘は俺の為に鳴る』に違いないよな?
とりあえず帰って体重計乗るぜ!『75kgのライン』下回ったら…鐘ジャンジャン鳴らすぜ!!
まあ俺のアパートには『鐘』なんてないけどな(締め笑い)
おしまい…。
(今日の星乃珈琲西川越店メッチャ寒い…これじゃあ屋外でブログ書くのと変わらないよう…←締め哀)