ロード トゥ ロードバイク その4

かくしてサイクリスト歴僅か1年ちょいにしてロードマンにあきたらなくなった僕は
『サイクルスポーツ』の『売りたし!買いたし!』コーナーを使って、新車(つーか中古車←笑)購入を目論んだ。そのターゲットとしていたのは『フルクロモリのランドナー』である。前回記した通り、当時僕の仲間内ではロードやスポルティーフが流行っていたのだが、僕は『サイクルスポーツ』の『僕の私のサイクル日記』欄に寄せられた長距離ツーリング紀行文が大好きで、いずれは自分もそんな旅がしたいと思っていた。だからフロントバックとサドルバックしか付けられないスポルティーフ、フロントバックすら付けられないロードレーサーは興味の枠外であり、何としてもランドナーを入手したいと思っていた。

そしてある月の『サイクルスポーツ』に、僕の希望する『売りたし!』が現われた。それは『片倉 シルク ランドナー』で、希望価格は確か5万円位だったと覚えている。これならお年玉やら何やらで貯めたなけなしの貯金で、何とか購入が可能である。そこでオーナーの大学生宅にお邪魔し実車を見せてもらったが、色がメタリックな紫というところに違和感を覚えた。何故なら紫色というのは当時の僕にとって『不良が好んで着るor使う色』という認識があり、ちょっと忌避していた色だったのだ(笑)

因みに当時は『番長』に代表される不良全盛の時代であり、僕の中学校にも不良達がバリバリ闊歩していた。幸い友人であるS君が番長として君臨されていたので僕には特に実害はなかったが(所謂『虎の威を借る狐』ってやつですな←笑)、それでも『土管 長ラン リーゼント』の三点セットで身を固める彼等の存在は、やはりちょっとおっかないものだった。その彼等の長ランの裏地の多くが、また時折校庭を疾走した彼等のバイク(笑)のタンクが、やはり何故か揃って紫色だった。だから紫色にあまり良い印象がなかったのである。

しっかし番長S君は、小6の時には飼っていた猫の死を悼む作文を書き学校内作文コンクールで最優秀賞を貰ったというのに、またリトルリーグでもエースとして活躍していたというのに、何であんなに変わっちゃったのかなぁ…。色々事情があったらしいけど、今は元気にやってるのかなぁ…(そんな私信をここに載せるな!)

まあ余談が過ぎたがそんな訳で、その『シルク』の紫色はあまり気に入らなかった。またフレームサイズも当時の僕にはちょっと大きそうなもので、この点でも当初の予想と違うものであった(因みにこの色、フレームサイズ共『売りたし!』欄に明記されていたので、オーナー氏が悪い訳ではありません)しかしフレームに輝く『丹下 No2』のステッカー(クロモリパイプの品番表示)にはグッときた!

「うひょ~!『丹下 No2』だ~!『石綿 022』クラスのパイプだ~!!」

「前三角『石綿 025』のロードマンからえらい出世だ~♪」

とウキウキした(笑)
またフロントに装備されたディレーラー『ユーレー ジュビリー』を見ては

「おおっ!ランドナーの定番、おフランス製のパーツ!!」

と感動し、リヤディレーラーの『サンツアー ロードVX』に触れては

「N君と同じディレーラーだ~!」

と変な喜び方をしたりもした(笑)
更に、これまたランドナーの定番装備である懐中電灯形ライトや亀甲形泥除けを目の当たりにしては

「ああ…『サイクルスポーツ』で見たまんまだ…」

と感慨を深くし、とどめとばかりにシートピラー上に鎮座する『イデアル90』を確認した時は

「こっ、これが『お尻に馴染めば乗り心地は天下一品』とされる革サドル…」

と呟やき、思わず目頭を熱くしたりもした…。
とにかく色とサイズ以外は完璧に満足がいくランドナーあり、それ故僕の購入欲に火がついた。
そしてそう…そのまま買っちゃいました(笑)

『欲しくなったら多少の不満があっても即購入!』

これも不惑の歳を越えた今でも続く、僕の愚かな習性である…。
(因みにフレームサイズはその後僕の背が伸びた為、良い具合になりました♪)

かくして僕はランドナーのオーナーになった。そのデビューツーリングは奥多摩の鋸山林道。今は全線舗装されているが(3年程前にバイクで訪ねました 懐かしかった~♪)当時は未舗装のガタガタとしたダート峠であり、ランドナーの性能を試すにはうってつけのスポットだった。しかしその時の僕の頭には『性能を試す云々』という事だけでなく、もうちょっと違う想いも有していた。それは

『旅がしたい…』

という想い…。このランドナーを買ったのが中2の冬というか中3の春というか…とにかくそういう微妙な時期だった。頭に常に過ぎって(よぎって)くるのは、当然避けては通れない高校受験の事・・・。

「もうすぐ中3…受験勉強の日々が始まる…」

「暫くはサイクリングはお預けになるだろう…」

「だから今サイクリングに行こう!旅に出よう!!」

「そして折角ランドナーが手に入ったのだから、ちょっと変わった旅をしよう!」

そんな風に考えた僕は、『ちょっと』というより『思いっきり』変わった旅をした。即ちランドナーにフロントバックとシュラフを括り付けると、敢えて夕方になってから家を出た。2時間程して奥多摩に着き更に鋸山林道を登り始めたところ、そこで完全に陽は落ち、山の中腹といった所でランドナーを停めた。眼下の彼方に人家のものらしき灯がふたつみっつ見えるが、後は漆黒に包まれた真っ暗闇である(林道の途中=山のど真ん中ですから←笑)そこで僕はパンをかじりボトルの水をグビリと飲むと(勿論ランドナー御用達のホーローボトルでっす♪)後はシュラフを広げてそれに潜り込んだ。そう!僕はここで野宿をするつもりなのである!!

今から思えば、ちょっと、いや、かなり無茶な話である。つーか今だったら絶対にやらない!(だって山の中でテントもなしで一人で野宿なんて怖いじゃん!)何故こんな訳の分からない事をしたのかというと、ひとつには『サイクルスポーツ』読者欄に投稿された旅日記にある

『旅先の軒下で野宿』

というものに憧れた為であろう(自分の事なのに『あろう』ってのも変だが、この時の心情の子細を実は覚えていないのだ…)しっかし何も山の中で野宿する事もないですよね(笑)次いでもうひとつの理由として『独りになりたい…』という気持ちがあった様な気がする。
思春期真っ直中にあり以前より少しだけ複雑な思考をする様になった僕は、妙な厭世感というか孤独癖というか…とにかくちょっと変な傾向を有する様になっていた(当時好きだったエッセイストの影響です←単純よのう…)
だから

「真っ暗な山の中腹から、遠く瞬く人家の灯を眺めてみたい…」

「そして『俺にも昔はあんな幸せな家庭があった…でも今は独りだ…独りぼっちだ…』と呟き、ひっそり孤独を噛み締めてみたい…」

などという訳の分からない事を考え、この奇妙な旅を思い付いたのだと思う。まあ実際そのイメージ通りの旅が出来たのだが、想定外だったのが『ガサガサ…』という物音。それは終夜断続的に続いたのだが、そして恐らくは風が梢を揺らす音だったのだが、漆黒の闇の中で独りシュラフに包まる無防備な僕としては、どうにも不安を覚えてしょうがなく

「熊?熊じゃないのか?」

とビビってみたり

「いや、この程度の山に熊はいないって!精々野犬ってとこだろう」

「野犬って…怖いじゃん!」

とノリツッコミしたりしつつも(当時まだそんな言葉はありませんでしたが←笑)かなり怖かった事を覚えている。それでもそこで一晩を過ごし、次の日鋸山を越えて五日市側に下って帰宅した。普通に朝出れば夕方には帰宅できる行程なのに、敢えて上記の様な変則一泊二日ツーリングにした訳である。本当、思春期って訳分かりませんよね(笑)←自分の事だろ~ッ!!

このランドナーとは、このツーリングが最大の思い出になった。買って最初のツーリングが『最大の思い出』というのも変な話だが、これにはちょっとした理由があって、つまりはこの後の受験勉強の惑乱と懊悩の日々の中で、僕は何故かアニメマニアになってしまうのである(笑)
それは何とか高校に進学出来てからも続いてしまい、今でいう『引き籠もり』みたいな生活をする事になってしまった(辛うじて学校には行ってましたが…)当然ランドナーとは疎遠になっていき、やがて全く乗らなくなった・・・(何の為に買ったのやら…)

幸いな事に高校で出来た友人達の助けもあって、一年半程で引き籠もり生活からは脱する事が出来た。しかしサイクリングへの興味が復活する事はなかった…。どの位サイクリングへの興味を失ったかというと、愛し改造を重ねたロードマン、そして期待に胸を膨らませて購入したランドナー共、いつ、どこで、どういう形で手放したかを(処分したかを)今をもって全く思い出せない程、興味を失っていたのである…(この2台を手放してしまったのは痛恨事である…今持ってたらレストアとかして楽しめただろうに…)

この後ややあって大学に進学したが、大学では山登り系のクラブに所属してしまい、サイクリングへの興味は復活しなかった。社会人になってからはダイビングにはまり(沖縄通いもしたし、パラオにも行っちゃいましたよ←笑)、やはりサイクリングへの興味が復活する事はなかった。その後ひょんな事から50ccオフロードバイク『フォン・ブラウン号』(『ヤマハ DT50』です)を購入し、往年辿った秩父やら奥多摩やらを走り回ったが、かつて自転車で来た時の事を懐かしむ事はあっても、興味が復活する事はやはりなかった。結局それが復活するのは、先に述べたクロスバイク購入まで、つまりは四半世紀の刻(とき)を経るまで待たねばならなかったのである…。





続く(次回から現代の話に戻ります!ロードバイクの話になるまでもうちょっとですよん♪←本当に『もうちょっと』なの?←疑念)
by shousei0000 | 2008-04-12 19:25 | アクア購入の軌跡 | Trackback | Comments(0)
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