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秩父三十四ヶ所! 第一夜 その8

さてさて前回からの続きですが、前回のエピソードから15分程して後、小生は3番札所常泉寺に辿り着きました。時間は既に14時近くになっており、帰路の事を考えると、ここが本日最後に巡るお寺となるだろう。積年の想いを込めて始めた秩父三十四ヶ所巡礼の旅・・・。その旅はまだ最初の一回で、しかも巡礼開始わずか三時間にも満たない間に、既にここまで語ってきた様な様々なエピソードを発生させた。


「今日はこの寺で終了となるが、この旅はこの先一体、どれ程多様なエピソードを小生にもたらすのだろう・・・?」


そんな感慨に浸りつつ小生は常泉寺の駐車場にアクアを停めて、本堂に向かって歩き出したのでした。



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写真中央の白砂の部分が駐車場で、そこから左手に伸びる細い道が本堂へのルートです。駐車場と本堂の間にはご覧の通り田んぼが控えており、その間(かん)の距離は200m位といったところか?その道を小生がのんびり歩いて100m程進んだ時、駐車場の方向に何やら大きな車両が入ってくる気配を感じました。それで振り返ってみたところ、何と!先程光明寺で会った四国からの巡礼団のバスが停まっているではないか!!



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駐車場にバスが停まっているのがお分かりだろうか?それが四国からの巡礼団のバスである。先程別れたばかりの一団とまたここで再会した僥倖(ぎょうこう)に小生は思わず手を打ったが、札所2番を巡ったら次に三番札所に来るのは当たり前な事で、よく考えてみれば別に僥倖でも何でもない。因みに今『札所2番を巡ったら次に三番札所に来るのは当たり前な事』と書いたが、実は案外そうでもない。皆さんは札所巡りは番号順に行うのが当然と思うかもしれないが、巡り易さに力点を置いて、順不同に巡る輩(やから)も実は結構多いのだ。嗚呼・・・嘆かわしい・・・。
素人って奴は全く・・・。
(お前も始めたばかりだろ~ッ!)


それでも小生は嬉しかった!この再会を僥倖としてことほぎたかった!だってこの一団には、前回述べたあのおばあちゃんがいるのだ!あのありがた~い合掌を再び目の当たりに出来るのだ!!そう思うと堪らないものがある♪


「ああ・・・嬉しいなぁ・・・またあの合掌が見れるなんて・・・」


「やっぱり旅って異なものだなぁ・・・」


「そうだ!今度はちょっと何か話してみようか?」


「『こんにちは。先程光明寺でお見かけしましたが・・・』とか話しかけたら、きっとおばあちゃん優しい口調で『はい、こんにちは。勿論覚えていますよ。とっても精悍な青年だなぁ~って、皆で噂してたんですよ♪』な~んて微笑んでくれるに違いないさぁ~♪」


そんな虫の良い妄想に独りニヤけていた時
(敬虔なおばあちゃん相手に妄想するな~ッ!)
小生はふとある違和感を覚えて目を瞬かせました。バスからは先程の白装束の一団が降り立っています。引率の住職らしき人が混じっているのも先程通り。しかしその中に先程は見かけなかった(本当はいたんだろうけど気付かなかった)スーツ姿の男性がいたのです。さすがにこの暑さですから上着こそ着ていませんが、ネクタイなんかしっかりしちゃって、この一団の中ではかなりな異彩を放っています。明らかに場違いな男性です。あれは一体何者だろう・・・?


「あれは・・・そう・・・添乗員じゃないか?」


小生は程なくそう思い当たりました。巡礼とはいえバスを借りて宿にも泊まるとなれば、これは世間的に見れば立派な観光旅行である。それに添乗員が付くの当然の事。何しろ相手はお年寄りばかりなのだから、いつポックリ逝く者が出ても体調を崩す者が出てもおかしくはない。添乗員の一人も付かなきゃ危ない安心出来ないではないか!(ちょっと不謹慎な書き方だったかな・・・すみません・・・←そう思うなら書くな~ッ!


それでその男性が添乗員である事は分かったのだが、そして服装が周りの人と違うのも納得がいったのだが、それでもその男性にはまだ違和感が残っていた。
小走りなのである。ダッシュと言ってもいい。
周りの人達、つまり彼にとっては『客』である筈の人達を置き去りにして、大きな包みを小脇に抱えて小生の方向、つまり本堂に向かってダッシュしてくるのは、どうにもこうにも違和感バリバリである。



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       位置関係の説明です。カメラの液晶画面に直接タッチペンで書いたものなので
       「字下手だね・・・」とか言わない様に(笑)



「そりゃ~寺の説明なんかは引率の住職がするんだろうから(光明寺でもしてた)添乗員といってもバスガイド的な仕事はしないのかもしれないけれど、にしても客をほかって独りでダッシュってのはどうなんかねぇ~?」


「う〇こでもしたいんかねぇ~」


そんな風にほくそ笑んでいたのだが
(お前と一緒にすな!)
次の瞬間、小生は突然ある事に気付いて愕然とした!
あれは・・・あの添乗員が小脇に抱えているのは・・・。
あれは人数分の納経帳ではあるまいか!?


そう考えれば全てに合点がいく・・・。
彼が添乗員でありながら客を置き去りにしているのも、巡礼の団体の中で独りだけダッシュしているのも・・・。
つまり彼は客に先駆けて納経所に納経帳を提出して、客がのんびりお寺を廻ってるうちに朱印を頂いておこうという魂胆なのだ!


何しろ20人からの団体である。仮に納経帳一冊に朱印を書いてもらうのに1分かかるとして、20人分ともなれば20分かかるという事になる。しかも彼の抱える包みからは納経帳とは別に朱印を頂くと思われる、掛軸なんかも5本ばかり覗いている(そういう物があるんです)となれば、更に5分加算されて25分という事に!


まあそれはそれでよい。
彼等の一団が何冊何本に朱印を書いてもらおうと小生の知ったこっちゃないし、彼が客に先駆けてこの行動を取ってる事自体も『お客様をお待たせしない』という観点に立っての事だろうから、添乗員という彼の職業上、むしろよくやってる、偉い、とも言えるだろう。問題なのは
彼が小生の方向にむかってダッシュしている
という事である。小生と彼の間には100mばかりの距離があるが、彼がダッシュしてるのに対し、小生は口をポカーンと開けて、それを呆然と見やっている・・・。仮に彼が小生に追いつき追い越し小生に先駆けて納経所に納経帳を提出したらどうなるか?


























小生25分も待たなきゃならなくなるじゃないですか~ッ!

























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       再び位置関係と状況の説明です(笑)



「うお~ッ!冗談じゃない~ッ!!」


小生は思わず絶叫しました!(ローカルの寺の前で絶叫すな!!)
そんな事があっていいのか?そんな事があっていい筈がない!!
だってそうでしょう?小生はこの後、50Km強の道のりを自転車を漕いで帰らなきゃならないんですよ!しかも峠ひとつ越えてですよ!!それに対して、この巡礼団の面々はエアコンの効いた快適なバスでここまで来て、そしてこの後おそらくホテルなんか泊まるんですよ!
しかも多分そこで御馳走を喰らい、更にきっと温泉なんかにも入るんですよ!
そんな連中なんかの為に(最早『連中』呼ばわり←笑)何で小生が25分も待たなきゃならないんです?
観世音菩薩様だって、そんな悪行許さないよ絶対!
(お前のそういう考え方こそを、観世音菩薩様は絶対に許さないだろうよ・・・)


そう考えた小生は添乗員にくるりと背を向けると、一目散に本堂に向かって突き進んだ!この間(かん)小生と彼との距離は縮まっていたが、それでもまだ50mばかりのアドバンテージが小生にはあった。しかし小生がここまで60km強の道のりを自転車で来たのに対し、彼は快適なバスの中で居眠りをこいていた(想像←笑)つまり体力的には彼の方が余力十分であり、この程度のアドバンテージはアドバンテージと呼べない。しかも彼には職業的義務感、つまり


『お客様を待たせる訳にはいかない=一刻も早く納経所に納経帳を出す!』


という確固たる信念がある!それに対して、小生にはそうした心の支えというべきものが何ひとつない・・・。つまりこの点から言っても、わずか50mばかりの距離はアドバンテージとは呼び得ない・・・。よって今まさに繰り広げられんとしている札所三番常泉寺前直線残り100mでの競り合いは、小生と彼とのハンデ無しのガチンコ勝負なのである!






























絶対に負けられない闘いがここにもある!




















続く(オチまで書くつもりだったけど疲れてしまった・・・)
by shousei0000 | 2008-08-22 00:05 | 秩父三十四ヶ所


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